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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 
 

調和


ある日、大将がこう言った。
「ラーメンを食べに行こうか・・・。」

頭の中に、札幌・喜多方・博多・・・等、名だたるラーメン産地が過ぎる。
いずれにしろ、KENTAUROSのボスが言うからには、とんでもない遠くで食べるに違いない。
去年は、「蕎麦を食いに行こう・・・」と言うから「ハイ」と応えたら、
福島県耶麻郡までのツーリングになってしまった。(笑)

まあ、コーヒー一杯で神戸まで走る事を考えれば、福島あたりはそんなに遠くない。
しかし、博多の屋台で・・・とか言われると、仕事を抜け出す算段をしなくてはいけない。
当然、覚悟を決める(仕事を投げ出す)気になっていた。

ところが今回は、横浜市の瀬谷へ行くと言う。
ちょっと安堵しつつ、瀬谷・・・という地名に思い出す事があった。



それは今から15年前、 私が二俣川辺りに生息していた頃の事。
保土ヶ谷バイパスで路肩130マイル巡航をしていると、車と車の間をすり抜けながら追い抜いていく奴がいた。
普通誰も追いついてこない速度なのに、走りにくいラインを当たり前に抜けていくのだ。
しかも何度と無く遭遇するうちに、ライダーはどうやら一人ではない事に気が付いた。(体格やバイクの種類が違う)
ただ、下川井ICで降りて消えていくのだけが、彼らの唯一の共通点だった。

ある時、まったくの偶然だが、下川井ICで信号待ちしている彼の後ろについた。
ヘルメットには、反射式のケンタウロスマーク。
「早い奴を、捕まえてみれば、ケンタウロス」とはよく聞くのだが、実証されると苦笑するしかない。
後日クラブハウスで聞いてみたら、ケンタウロス最速を担う「瀬谷軍団」という名前があがってきた。

あの「瀬谷軍団」、今はどうしているのだろう・・・・。


何年ぶりかで相鉄に乗り「瀬谷駅」へ向かう。
電車を降りると、何だか懐かしい風景がそこにあった。

瀬谷駅前名店街と名がついたアーケードは、狭くて暗いけどのんびりとして独特の空気が漂う。
子供の頃、商店街といえばこんな感じだったよなぁ・・と思いながら歩くと、「中華料理三十一番」があった。


店の中には、既に声をかけられたライダーが集っていた
(東京からFURAIBOのメンバーも駆けつけていた)


おっつけ大将もやってくる。
餃子とラーメンとビールで、ちょっとした宴会場となっていく。(笑)

私は、ラーメン(400円)餃子(300円)をオーダーした。(勿論ビールも)
ベーシックでシンプルな物ほど、店の素性を雄弁に語る。
だから初めての時は、蕎麦屋だったら「もり」、イタリアンだったら「ペペロンチーノ」という風にオーダーする。
正当派の街の中華料理屋だったら、ラーメンと餃子、チャーハンを食べれば味が解る。


大将は「繊細な味を楽しめ」と言った。
出てきたラーメンと餃子を食べてみた。

ラーメンは、出しゃばらないオーソドックスな醤油味(あっさり)。
口の中で消えてしまうほど柔らかく煮たチャーシュー(煮豚)と、青梗菜とメンマがのる。
細いのに腰がある麺は、素直にスープと絡まった。

餃子は、綺麗にミンチがかかった餡が、薄い皮で包まれて出される。
焼きはパリッとした焼き加減に加え、蒸し上げた部分のふんわりとした感触が楽しかった。
(この餃子は生でも販売しているのだが、上手く焼かないとこのハーモニーは出ないだろうと、少し心配になる)

自分の好みで言うなら、餃子の皮はもっと厚い物が好きだ。
ラーメンは、家系と呼ばれるコッテリしたもの方が、食べたって気がする。
しかし、中華料理屋という通称の店で食するものとしては、実にバランスが良い。
穏やかで飽きの来ない味だと言えばよいだろうか。

先日、醤油ラーメンの店としてテレビで紹介されていた店で食べた時、
スープがあっさりなのに魚臭くて、ラーメンより饂飩入れて・・・と言いたくなる事があった。
その店もスープはあっさりしていたけど、チキンと魚のバランスが悪かったからそう感じだんだと思う。


餃子は薄めの皮なのに、フワリとした感触が出せるのは、
調理している人間の腕が良いからだろう。
(是非とも、中華街で厚い皮を仕込んで、焼いてもらいたいと思う(笑))

料理長は 浦山明嗣 氏。
彼は父の跡を継いで、まったく独学で料理を覚えた、と言う。
味の決めては?と尋ねれば、「幼い頃、父に作ってもらったものの記憶」と答えた。
修行らしい修行をせず、食べ歩いて覚えたという味は、
客としての自分の舌を満足させる物だけを吸収して、バランス良く作り上げたのだろう。

現在、隼を転がす彼は、「いつでも最速マシンに乗っていたい・・・」と、人なつこい笑顔で語る。
店で見る彼からそのライディングを想像するのは難しいほど、それは優しい笑顔だった。

彼は、あの瀬谷軍団のライダーだと聞かされる。
マシンの違いだけでは説明のつかない早さを見せてくれた瀬谷軍団は、
今もどこかで走っているようだ。






中華料理「三十一番」
11:30〜20:00
日曜定休

横浜市瀬谷区瀬谷4-7-5
045-301-2304


Text and Photo by H.Wakao

 
 
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