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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 
 

hk 2000-2


香港、九龍半島、に位置する「ユマティ」。
ネーザンロードを尖沙咀から歩いて20分。
地下鉄2駅分の距離は、慣れていない人にはかなりの強行軍になるが、
目につくものを面白がって歩けば、あっという間に辿り着く距離。
地元の人の発音だと、「ヤマテ」(山手線のヤマテという発音に似てる)と聞こえるココは、
観光地から一般商業地区へと変わっていく区切りのような場所。
不思議な形の住宅建物がネーザンロード沿いに、多く見えだす所でもある。


貧富の差が激しいのは周知の事実だが、実際表と裏の姿はかなり違う。
派手な貴金属店の裏に回ると凄い路地があったりして、見ているだけでも飽きる事はない。

ウォン・カーウェイ監督は、こんな風景をゲリラ的な撮影で切り取って、
香港であって香港でないような世界を作り上げた。
日本の映画監督がそれを真似て作った映画があったが、本物を見ていない悲しさか、
リアリティが無さ過ぎて陳腐に見えてしまった事を思い出す。

オリジナルを作る事は難しい。
独自の物を作る事は、自分自身を表現できるという事。
自分が解らなくてもダメだし、表現力がなくてもダメ。
だから、新しい物を作れる人、表現できる人は、尊敬されるのだろう。


大英帝国が植民地にしていた場所、香港。
勝ち負けがはっきりする場所。
未来が見えないまま、その日その日を力一杯生きてきた国。

住む所も食べる所も乗る乗り物も、
全てがキッチリ分かれてしまうから、
自然に頑張ろうという気持になるのだろう。


香港島と九龍半島を結ぶスターフェリーは、運賃が30円程度の市民に親しまれる交通手段。
独特の風景を眺めながら波に揺られる時、何故か香港らしさを感じた。
それは、最も安い交通機関から最も高い寝場所を見るためか、
このフェリーにさえ一等と二等客室がある事を知っているからか・・・

そのフェリーの桟橋に、何もしないで海を見ている老人がいた。
その目は対岸の九龍半島を見ていない。
どこか空虚に光った彼の目には、
いったい何が映っていたのだろう。



                Text and Photo by H.Wakao

 
 
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