狭い路地を抜けると、土の感触を楽しめる公園が現れる。
公園の真ん中には、大きな木が一つ。
変わらない姿で、そこに生きている。
中華街にはあるその公園は、朝夕に武術の練習場となり、
昼間は子供の遊び場となるありふれた公園だった。
夏前に工事が始まり、中国風の東屋と石の回廊等がどんどん作られていった。
そして門には獅子の像が飾られる、立派な(?)公園が出来上がる。
人工的な公園だなぁ・・と、少し興ざめしつついつも通り過ぎていたのだが、
裏の路地から公園に入ると、夜はライトアップされた東屋と道の向こうの料理店の灯りが、
独特の雰囲気を醸してちょっとした風情を演出している。
「捨てたものじゃないね・・・」と呟きながら東屋に向かうと、
広東語の会話が聞こえてくる。
北京語と違って歌うような抑揚のある言葉だからか、詩の朗読を聞いているような錯覚を覚える。
まるでここだけ香港のようで、ちょっとした旅行気分にも浸っていられるのだ。
仕事の関係で香港の中秋節(9月12日)に行けないブルーな気分を、
こんな身近な場所が変えてくれるとは、思ってもみなかった。
それだけでも得をした気持。
こんな日は中華ちまきでも買って囓りながら徘徊するのが一番と、
いつもどおりに夜の街へと繰り出す事にした。
さて、今日は何飲もう(笑)
Text and Photo by H.Wakao
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