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徘徊中年
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キャブのジェットが届かない。
従って、バイクは復活できない。
要するに、足が無い。
で、徒歩通勤と称して、夜間徘徊を楽しんでいる。
最近、めっきり客引きが増えた関内あたりは、
スーツなんぞ着てふらふらしてたら、たちまち捕まってしまう。
錆びた頭にだるま落とし用のサンダル履きで、人のサイフだけを見て声をかける。
20年位若かったらつい誘惑にも負けたろうが、その頃は負けるだけの金がない。
そして今は誘惑にも感じないほど、感覚が擦れてしまったように思う。
人はそれを、「歳食っただけだよ」と慰めてくれるけど、
別に慰めてもらう必要もないと、実はしみじみ感じていたりする。
何故なら今日日の小娘達には、魅力のかけらも無いと心底感じているからだ。
あっ間違えた、今日日の擦れた立ちんぼ姉ちゃん達には・・と言い直しておこう(笑)
酔っぱらった窓際寸前のオヤジに、姉ちゃん達が寄っていく。
10数センチの厚底サンダルのおかげで、オヤジの目の前にはこぼれんばかり彼女の胸。
店に誘う言葉を聞きながら胸を見つめているオヤジの姿を見ていて、
なんだか現代社会の哀しさを見たような気がした。
面白いもので、ジーンズ+Tシャツ+ベストで歩いていると、
女性達は全然声をかけようとしない。
そんなに怖い顔しているつもりも無いから、よっぽど金持ってないように見えるのだろうか。
そう考えると、ちょっとだけ悔しかったりする。
バカだよね(爆)
ちょっと外れた小路に、女性ばかりが集っていたビストロがあった。
そういう店は、そこそこのクォリティがあるのは、経験的に解っている。
カップルばかりの店は、見てくれが良いだけだったり値段がとても高かったりして、
自分的には食指が向かない。
だからたぶん、良い出会いなのだ。
しかし、残念な事に店に開いている席がなかった。
とりあえず見るだけにして、今日は通り過ぎる事にする。
次に気が向いて訪れた時の客層を見て、入るかどうかを決めればいいのだから。
馬車道辺り(横浜市中区)
Text and Photo by H.Wakao
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