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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 
 

登竜年


1月の香港は、熱帯地方と言えどもやはり少し肌寒く、
私はダンガリーのシャツにジーンズのベストを着て、
多国籍な街へ飛び出した。

円が安くなったあたりから香港の人気は急激に落ちて、
いつの間にか歩けないほど混んでいた路も、
他人とぶつからずに歩けるようになった。

「社長〜! ニ・セ・モ・ノ・ドケイ! アルヨ!!」

九龍半島のネイザンロードあたりを歩けば、
必ずかかるイミテーション売りの声も、
いつの間にかほとんど耳にしなくなっている。


日本の中華料理店では絶対味わえないような、
なんとも言えない旨味を持った透き通ったスープに、
そうめんのような太さのわりに、かみ切れない程の腰のある
独特の麺を入れ、好みの具を載せた麺類は400円にも満たない
価格で食べる事ができる。
これを食べなくては、「香港に来た」と身体が反応しないので、
深夜に到着したにも関わらず、夜市の中にくり出した。


返還されたら、すっかり魅力を失うかに錯覚された香港は、
警察の装備からロイヤルの称号と王冠のマークが消えただけの変化で、
相変わらずの街並みと喧噪が支配している。


以前にもまして、新旧交代が激しい香港では、
庶民の生活とかけ離れた所で新しい物が生まれているらしい。
最近流行の中国茶も、香港の人々の生活にはあまり関係ない。
何故なら、彼らはたった一杯のお茶に、朝・昼の2食分に相当する金額を
支払う考えは無いからだ。

支配階級だったイギリス人達が減り、観光客だけが外国人となりつつある今、
外貨獲得には積極的であろう。
かく言う私も、日本で手に入りにくい種類のお茶を探しているのだから、
しっかりその術にはまっているのかもしれない。
しかし、横浜の中華街で飲む中国茶より不味く、高い物を出す店があるのだから、
観光客ズレも大きくなりつつあるのだろう。

香港では、例えどんなに綺麗でも、客の入ってない店には入ってはいけない。
その店は、高いか、不味いか、サービスが悪いかの、
いずれかに必ず属しているのだから。


2000.1 HongKong
          Text and Photo by H 

 
 
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